Yukio Diary -金澤幸緒のブログ

タイタンキャピタル株式会社 金澤幸緒のブログ

不動産投資のお話 - タワーマンション節税について

 

タイタンキャピタルの金澤幸雄です。

 

タワーマンションは不動産の中で特に人気が高く、資産価値も高いとされる物件のひとつです。タワーマンションとは、一般的に20階建て以上のマンションのことを指し、眺望の良さや豪華な共用施設、高いセキュリティなどが富裕層をはじめファミリー層や海外の投資家など幅広い層に人気です。こうしたタワーマンションの購入によってできる相続税対策はタワーマンション節税(タワマン節税)と呼ばれ、注目を集めています

 

タワマン節税とは、タワーマンションは購入金額に比べて相続税評価額が大幅に低くなる、というタワーマンションの特性を生かした節税のことを言います。つまり、タワーマンションの購入価格と相続税評価額の差額を利用することによって、相続税の負担を大幅に抑えることができる、というものです。

 

ここでは、現金と比較して相続税が低い不動産の中でも、戸建てや普通のマンションに比べてタワーマンションの方が相続税評価額を抑えられる理由について解説します。

 

マンションの評価額は、住戸ごとに「建物」と「土地」に分解され、それぞれについて評価額が算出されます。土地については、そのマンションが建つ敷地全体の評価額から各住戸の床面積に応じて按分して計算します。そのため、同じ敷地面積であれば住戸数の多いタワーマンションは住戸数の少ない低層マンションに比べて評価額が少なくなります。タワーマンションは他のマンションに比べて単純に住戸の数が多いため分母が大きくなり、通常のマンションや戸建てに比べて相続税評価額を抑えられることがあります。

 

また、一般的にタワーマンションの市場価格は上層階になればなるほど高額になりますが、相続税評価額は、専有面積が同じ場合、1階だろうとペントハウスだろうと、日当たりが良かろうと悪かろうと一律、同額です。2023年7月現在、タワーマンションの高層階の相続税評価額は、平均すると市場価格の4割程度。これはどういうことかというとタワーマンションの高層階は評価額の約2.5倍で売れる」ということです。

つまり、同じ相続をするなら、現金や株式でよりもタワーマンションの高層階を相続した方が相続税を減らせる場合が多いということです。

 

仮に相続できる金額を1億円として考えてみましょう。

現金として1億円を相続すれば、税率30%、控除額700万円ですから、単純計算で最大2,300万円の税金がかかります。一方、その1億円で生前に相続税評価額が4,000万円のタワーマンションを購入していた場合、課税上の評価額が数分の1ほどに小さくなります。評価額が4,000万円なら相続税は税率20%、控除額200万円としても600万円で済むのです。

その後マンションを1億円で売却すれば、6,000万円を無税で相続できてしまうということになります。

 

魅力的に見えるタワマン節税ですが、近年、課税強化の動きがみられるようになってきました。それについては次項で解説したいと思います。

 

金澤幸雄

ワインのお話 -モンジャール・ミュニュレ

Photo by Johny Goerend on Unsplash

 

金澤幸雄です。

 

今回はモンジャール・ミュニュレ ブルゴーニュ オート・コート・ド・ニュイ ルージュ ラ・クロワのお話をしたいと思います。

モンジャール・ミュニュレとは、フランス・ブルゴーニュ地方のフラジェ・エシェゾーにある畑・エシェゾー最大規模の生産者。このワインは、フラジェ・エシェゾーにも近いニュイ・サン・ジョルジュの西方、オート・コート・ド・ニュイにモンジャール・ミュニュレが所有する畑のぶどうから作られます。

ニュイ・サン・ジョルジュは現在、ブルゴーニュ地方におけるグラン・クリュ(特級畑)を有していませんが、歴史的にグラン・クリュに匹敵するすばらしいワインの生み出す畑もあるとして、ワイン通の中でも知る人ぞ知る存在です。

そんな「穴場」の地域の一角、オート・コート・ド・ニュイは、実はかつて消滅の危機にさらされていました。しかし、生産者の努力によって見事再生を果たしたのです。

その中でもラ・クロワと名付けられたワインは、樹齢50年ほどの古木から採れた果実のみを使用した特別なキュベ(樽)だそうで、華やかな香りにタンニンの重厚感も感じられ、価格もブルゴーニュの中でも手頃でとてもおいしいワインだと感じました。

 

金澤幸雄

 

 

ワインのお話 -パリスの審判


金澤幸雄です。

 

無名のカリフォルニアワインが、フランスの錚々たるグランヴァンを打ち負かした。

 

ワインを学んでいく中で避けては通れないこのニュースは、1976年に世界中のワイン愛好家やインポーター、ソムリエ、フードジャーナリストなど、すべてのワイン関係者に大きな衝撃を与えました。そして、トロイアの王子パリスが3人の女神の中でもっとも美しい者を決めさせられることになり、これが後のトロイア戦争の発端となった、という、ルーベンスの絵画でも有名なギリシャ神話になぞらえて「パリスの審判(The Judgment of Paris)」と呼ばれるようになりました。

 

今回は、4000年以上と言われるワインの歴史を変えた、パリスの審判の背景を解説します。

 

1941年、イギリスの貴族階級に生まれたスティーヴン・スパリュアは、ロンドンのワインショップを転々としてワインの知識を身に着けた後、1970年、29歳でパリの小さなワインショップ「カーヴ・ド・ラ・マドレーヌ」を買い取り、その後、高級ワインを中心に販売する自身の店としてオープンさせました。

英語で接客を受けられ、なおかつ試飲もできるワインショップは当時のパリでは珍しく、カーヴ・ド・ラ・マドレーヌは近隣に住む多くのワインを愛するアメリカ人やイギリス人をはじめ、多くの客で毎日大変な賑わいを見せていました。

そんな中、カーヴ・ド・ラ・マドレーヌの隣の物件が空き家となります。すでに常連客に向けて、店内でワインのセミナーのようなものを開いていたスパリュアは、その物件を買い取って、世界初の一般人向け本格ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン(Académie du Vin)」を開校します。このときスパリュアは31歳。カーヴ・ド・ラ・マドレーヌを始めてから2年後のことでした。

 

こうして始まったアカデミー・デュ・ヴァンは、英語でワインが学べる唯一のワインスクールということで、多くの外国人(パリに住むアメリカ人やイギリス人)が通っていました。やがてその噂はフランス人たちにも広まり、英語の授業のほかにフランス語での授業もスタートさせることとなりました。

そして、この評判を聞きつけたアメリカ・カリフォルニアのワイナリーの関係者がカーヴ・ド・ラ・マドレーヌを訪れるようになります。彼らが持ち込んだカリフォルニアワインを飲んだスパリュアは、カリフォルニアワインが持つポテンシャルに驚き、カリフォルニアワインの魅力をもっと良く知りたいと思うようになっていったのです。

 

Photo by Tyke Jones on Unsplash

ワインのお話 -「ノロワイン(NOLO Wines)」

金澤幸雄です。

 

今、アメリカを中心とした世界中で「ノロワイン(NOLO Wines)」が注目を集めています。

「ノロ」と聞くと、嘔吐・下痢・発熱などの症状を引き起こす、飲食関連では絶対に避けなければならないあのウイルスを想像してしまいますが、ここで言うノロとは「No and Low alcohol」の略で、ノンアルコールあるいは低アルコールのワインのことを指します。

 

ノロワイン人気の要因としては、新型コロナウイルスの感染拡大による意識の変化が最も大きいように思います。新型コロナウイルス感染を避けるための外出自粛による「外飲み」機会の減少や、免疫力アップのためのバランスの良い健康的な食生活を重視する健康志向などが挙げられます。しかし、ノンアルコール、低アルコールワインの歴史はコロナ禍で始まったものではなく、皆さんが考えているよりもずっと前に遡るということをご存じでしょうか。

 

1841年にドイツのワイン農家に生まれ、若いころからワイン造りを学んでいたカール・ユングは、1868年に親からリースリング種のブドウ畑を受け継ぎ、自分の名前を冠したワインメーカーを設立しました。しばらくは主に年単位で購入する大口の顧客向けにワインを販売していましたが、加齢や病気など健康上の理由から医師にワインを禁止された顧客が離れてしまう事例に遭遇します。

 

営業を担当していたカール・ユングの妻マリアは、ワインの香りや味を保ったままアルコールだけを取り除き、さまざまな理由からアルコールが飲めない人たちにもワインの味を楽しんでもらいたいと思い立ちました。このアイデアをもとに、カール・ユングJr.はワインからアルコールを除いてノンアルコール化する「低温真空蒸留法」を編み出し、1908年、本物のワインに勝るとも劣らないアルコールフリーのワインを世に送り出しました

カール・ユングJr.の編み出した低温真空蒸留法は世界各国で特許を取得し、カール・ユング社は今も世界有数のノンアルコールワインメーカーとして名を馳せています。

 

それから110年以上たった現在、コロナ禍にもそろそろ終息の兆しが見え始めていますが、世界的にはノンアルコール、低アルコールのマーケットは年々需要が高まり続けています。

ノンアルコール、低アルコールのビールや他の飲料と同様、ノロワインもアメリカを中心に大きな伸びを示しており、これからその成長率はさらに加速していくと見込まれています。日本にも多くの種類のノロワインが入ってきていますから、飲みたいけど飲めない人や飲めるけど飲みたくない人は一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

 

金澤幸雄

 

Photo by Karsten Würth on Unsplash

不動産投資のお話 - インボイス制度について

 

金澤幸雄です。

 

2023年10月1日から消費税に関する新しい制度「インボイス制度」が導入されます。登録受付は2021年10月から開始されており、この登録が済むと適格請求書発行事業者となって10月1日からインボイスが発行できるようになります。

 

インボイスとは適格請求書のことです。

不動産賃貸の世界で例えてみましょう。不動産管理会社(売り手)が不動産管理というサービスを提供し、不動産オーナー(買い手)に対して管理委託費用を請求する際に発行するのが請求書です。この請求書の中でも適格請求書とは、適格請求書発行事業者の資格を得た課税事業者のみが発行でき、登録番号や税率ごとに区分した消費税額を記載する必要がある請求書のことです。これをインボイスといいます。免税事業者はもちろん、課税事業者でも適格請求書発行事業者の登録を済ませていなければインボイスの発行はできません。

仮に不動産管理会社がインボイスを発行できない場合、不動産オーナーはインボイスのない仕入仕入税額控除はできません。不動産オーナーが免税事業者なら消費税を納めないのでそれでもいいかもしれませんが、課税事業者の場合は消費税負担が増えることになります。利益が減ることになるのです。

 

ところで、不動産オーナーが賃貸経営する上での節税策のひとつに「法人化(法人成り)」というものがあります。

今までよく見られた節税対策はこのようなものです。

まず、課税事業者の不動産オーナーが、免税事業者の不動産管理会社を設立します。

次に、オーナーは自身の所有する不動産をこの管理会社に売却せず、不動産の管理を委託し、管理委託費用を支払うという形を取ります。すると、

・課税事業者のオーナーが自身の所有する不動産管理会社に支払う管理委託費用は消費税の仕入税額控除が可能

・オーナーの所有する不動産管理会社は免税事業者なので消費税の納税義務がなく、オーナーから徴収した消費税は益税として保持することが可能

という一挙両得とも言える図式が成り立っていました。

 

しかし、インボイス制度導入後にはこのやり方は通用しなくなります。

先ほどもお話しした通り、設立した不動産管理会社が免税事業者である場合、インボイスが発行できません。インボイスが発行できないということは、オーナーは管理委託費用の仕入税額控除を受けることができないということで、結果、オーナーの納税額が増加する(=利益が減る)ことになるのです。

仕入税額控除を受けるために不動産管理会社を課税事業者にし、インボイスが発行できる会社に変更しても、これまでのようにはいきません。不動産管理会社は免税事業者から課税事業者になったのですから、管理委託費用の消費税納税義務が発生します。どちらにしても、これまでのような「節税」はできなくなるということです。

 

 

金澤幸雄

 

Photo by Étienne Beauregard-Riverin on Unsplash

ワインのお話 -「ファーストラベル」

 

タイタンキャピタルの金澤幸雄です。

 

フランス・ボルドー左岸の5大シャトーそれぞれの代表的なワイン(シャトー・ラフィット・ロートシルト、シャトー・ムートン・ロートシルトシャトー・ラトゥールシャトー・マルゴー、シャトー・オー・ブリオン)は「ファーストラベル」と呼ばれ、そのシャトーで造られる代表作であり、味わいや価格において最高峰に位置するワインです。

 

5大シャトーのファーストラベルのワインは、その名前は知っていても当然ながら非常に高額なため、日常的に楽しめる人はなかなかいないと思います。しかしこれらのシャトーでは「セカンドラベル」「サードラベル」と呼ばれる、比較的手に届きやすい価格帯のワインを造っていることが多く、ファーストラベルよりは気軽に超高級ワインの造り手の理念やスタイルなどに触れることができます。

 

セカンドラベルとは、ひとことで言うとファーストラベルで使用されないブドウで造られたワインのことです。例えばファーストラベルの畑とは別のブドウであるとか、同じ畑でも樹齢の若い木から採れたブドウであるなど、シャトーによってさまざまですがファーストラベルとは明確な基準による違いがあります。また、セカンドラベルよりも価格帯をさらに抑え、日常に取り入れやすいサードラベルのワインを造っているシャトーもあります

 

◎カリュアド・ド・ラフィット・ロートシルト(Carruades de Lafite Rothschild)

シャトー・ラフィット・ロートシルトのセカンドラベル。

ファーストラベルと同じ畑の樹齢の若い木から採れたブドウで造られています。

この畑から採れるすべてのブドウの3分の1がファーストラベルになり、残りがセカンドラベルとなります。

サードラベルはありません。

 

◎ル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロートシルト(Le Petit Mouton de Mouton Rothschild)

シャトー・ムートン・ロートシルトのセカンドラベル。

こちらもファーストラベルと同じ畑の若木を厳選してファーストと同様に作られ、ヴィンテージによってはファーストよりも手に入りにくいとも言われています。

サードラベルはありません。

 

◎レ・フォール・ド・ラトゥール(Les Forts de Latour)

シャトー・ラトゥールのセカンドラベル。

シャトー・ラトゥールは、ファーストをランクロ(L’Enclos)と呼ばれる特別な区画のブドウで造ります。セカンドラベルはこのランクロに植えられた若木のブドウから収穫されたブドウと、ランクロ以外の区画から収穫されたブドウから造られます。

サードラベルはポイヤック・ド・ラトゥール(Pauillac de Latour)で、だいたい1万円台で購入でき、気軽に格付け第一級の雰囲気を味わえます。

 

◎パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー(Pavillon Rouge du Chateau Margaux)

シャトー・マルゴーのセカンドラベル。

ファーストが新樽率100%であるのに対し、セカンドであるパヴィヨン・ルージュは新樽率50%、熟成期間はファーストより3、4ヵ月短く造られています。

マルゴーにはマルゴー・デュ・シャトー・マルゴー(Margaux du Chateau Margaux)というサードラベルがありますが、これは、パヴィヨン・ルージュの質を向上させるために造られたものです。

 

◎ル・クレランス・ド・オー・ブリオン(Le Clarence de Haut Brion)

シャトー・オー・ブリオンのセカンドラベル。

ファーストラベルと同じ畑の若木から獲れたブドウで造られています。ファーストとの違いは樹齢だけで、土壌や品質管理については全てファーストと同様に造られています。

クラレンドル(Clarendelle)は、シャトー・オー・ブリオンを所有するクラレンス・ディロン・ワインズのブランドで、シャトー・オー・ブリオンの血統でありサードラベル的な位置付けのワインで。こちらは数千円で手に入ります。

 

金澤幸雄
Photo by Sven Wilhelm on Unsplash

ワインのお話 -フィールドブレンド

金澤幸雄です。

 

皆さんはワインを選ぶとき、何を基準に選ぶでしょうか。

 

合わせる料理や誰と楽しむか、飲むシーン(誕生日など)、赤・白・ロゼ・スパークリングなどの種類、カベルネ・ソーヴィニヨンピノ・ノワールなどブドウの品種、旧世界(フランス、イタリア、スペインなど)・新世界(日本、アメリカ、オーストラリアなど)といった産地・・・。

その時々によってさまざまですが、中でもブドウの品種は「今日の1本」を選ぶときに大きな基準となることが多いように思います

 

実際、いま世の中に流通している多くのワインは、赤ならカベルネ・ソーヴィニヨンピノ・ノワール、白ならシャルドネソーヴィニヨン・ブランなど、単一の品種から造られており、ボトルのエチケットにも目立つところに品種名が書かれているものがほとんどです。

しかし最近では、同じ畑で収穫された様々なブドウの品種を混ぜて醸造した「フィールドブレンド」と呼ばれるワインが注目を集めているのです。

 

フィールドブレンド(ワイン)とは、ある範囲内の土地で収穫された異なる品種のブドウを品種ごとに分けず一緒に収穫し、混ぜて発酵(=混醸)させたワインのことを指します。

お気づきの方も多いと思いますが、フィールドブレンドとはこの「ある範囲内の土地で収穫された異なる品種」という点が最大のポイントです。

 

ご存じのとおり、複数のブドウの品種をブレンドしたワインを造るときは、ブドウの品種ごとに収穫し、別々に発酵させてワインにしたのち、味わいのバランスを見ながらワインをブレンドするのがセオリーです。

しかし実は、かつて昔のヨーロッパの庶民たちが飲んでいたのは、家の畑や親戚の畑などでできた、品種も特にわかっていないようなブドウを使ってつくるワインでした。

それが洗練され、現代のような品種ごとのワインへと変わっていくことになります。つまり、フィールドブレンドとは古来のワインの製法を現代に復刻させたものなのです。

 

昔ながらの混植・混醸を取り入れながらも、現代ワインならではの経験、技術をうまく取り入れ、単一のブドウ品種から造られたワインにはないフィールドブレンドならではの複雑な味わいを引き出していく。

そんなフィールドブレンドに挑戦する作り手の皆さんには本当に頭が下がります。ブドウの品種の個性より、その土地の持つ個性、テロワールに光を当てた「古くて新しい」作り方ともいえるでしょう。

 

金澤幸雄

 

Photo by Maksym Kaharlytskyi on Unsplash