Yukio Diary -金澤幸緒のブログ

タイタンキャピタル株式会社 金澤幸緒のブログ

ワインのお話 -「ノロワイン(NOLO Wines)」

金澤幸雄です。

 

今、アメリカを中心とした世界中で「ノロワイン(NOLO Wines)」が注目を集めています。

「ノロ」と聞くと、嘔吐・下痢・発熱などの症状を引き起こす、飲食関連では絶対に避けなければならないあのウイルスを想像してしまいますが、ここで言うノロとは「No and Low alcohol」の略で、ノンアルコールあるいは低アルコールのワインのことを指します。

 

ノロワイン人気の要因としては、新型コロナウイルスの感染拡大による意識の変化が最も大きいように思います。新型コロナウイルス感染を避けるための外出自粛による「外飲み」機会の減少や、免疫力アップのためのバランスの良い健康的な食生活を重視する健康志向などが挙げられます。しかし、ノンアルコール、低アルコールワインの歴史はコロナ禍で始まったものではなく、皆さんが考えているよりもずっと前に遡るということをご存じでしょうか。

 

1841年にドイツのワイン農家に生まれ、若いころからワイン造りを学んでいたカール・ユングは、1868年に親からリースリング種のブドウ畑を受け継ぎ、自分の名前を冠したワインメーカーを設立しました。しばらくは主に年単位で購入する大口の顧客向けにワインを販売していましたが、加齢や病気など健康上の理由から医師にワインを禁止された顧客が離れてしまう事例に遭遇します。

 

営業を担当していたカール・ユングの妻マリアは、ワインの香りや味を保ったままアルコールだけを取り除き、さまざまな理由からアルコールが飲めない人たちにもワインの味を楽しんでもらいたいと思い立ちました。このアイデアをもとに、カール・ユングJr.はワインからアルコールを除いてノンアルコール化する「低温真空蒸留法」を編み出し、1908年、本物のワインに勝るとも劣らないアルコールフリーのワインを世に送り出しました

カール・ユングJr.の編み出した低温真空蒸留法は世界各国で特許を取得し、カール・ユング社は今も世界有数のノンアルコールワインメーカーとして名を馳せています。

 

それから110年以上たった現在、コロナ禍にもそろそろ終息の兆しが見え始めていますが、世界的にはノンアルコール、低アルコールのマーケットは年々需要が高まり続けています。

ノンアルコール、低アルコールのビールや他の飲料と同様、ノロワインもアメリカを中心に大きな伸びを示しており、これからその成長率はさらに加速していくと見込まれています。日本にも多くの種類のノロワインが入ってきていますから、飲みたいけど飲めない人や飲めるけど飲みたくない人は一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

 

金澤幸雄

 

Photo by Karsten Würth on Unsplash