名言のお話 -アンディ・ウォーホル
『Beauty is a sign of intelligence.(美しさとは、知性の証だ。)』
――アンディ・ウォーホル
世界の偉人や著名人たちの名言、格言の中には、経営者の自分にとって重要な「気づき」を得られるものが多くあり、折に触れて彼らの言葉を読み返し、生きていく上でのヒントをもらっています。
今回ご紹介するのは、アメリカのポップアートの象徴ともいえるマルチアーティスト、アンディ・ウォーホルです。
ニューヨークで商業デザイナーとして働いていたアンディは、30代でアートの世界へと軸足を移し、コカ・コーラの瓶やキャンベルスープの缶、マリリン・モンローなどの「大衆的で誰でも知っている物や人」の、それも「大量に出回っているイメージ画像」をモチーフにした作品を大量に世に送り出しました。
時には飛行機事故や電気椅子などから着想を得た作品(「死と惨禍シリーズ」)を発表して物議を醸すなど、当時としてもアンディの作品たちは非常にセンセーショナルであったでしょう。
「ビジネスに長けていることは、最も魅力的なアートのひとつさ。お金儲けはアートであり、働くこともアートであり、さらに言うと、よいビジネスは最高のアートなんだ。」
この言葉からも分かるとおり、アンディは「The Factory(工場)」と呼ばれたアトリエ兼セレブの集まるサロンのような場所を創設して労働者を雇い、シルクスクリーンの技術を用いて作品を大量生産しました。
それまでの「アートは1点もの、希少なものである」という概念を取り払い、同じものを量産する。アンディは一躍、商業的、機械的、資本主義、消費社会・・・というイメージのある60~70年代アメリカの寵児となったのです。
冒頭の言葉は、同じモチーフをいくつも整然と並べていく手法を好んで用いたアンディならではの名言であるなと思います。
確かに、私の好きなアート作品や楽器、音楽、アーティストなどの美しいものには共通して知性が感じられ、知性が感じられるものは総じて美しいな、と納得しました。
それと同時に、外見にコンプレックスがあったと伝えられているアンディが、どのような思いでこの言葉を遺したのかも気になるところではあります。
そんな問いかけを見透かすかのように、アンディは以下の言葉も遺しています。
「アンディ・ウォーホルって人間について知りたければ、ぼくの絵の表面だけを見ればいい。裏側にはなにもない。」
金澤幸緒