Yukio Diary -金澤幸緒のブログ

タイタンキャピタル株式会社 金澤幸緒のブログ

ワインのお話 -シャトー・ヌフ・デュ・パプ

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金澤幸雄です。

 

ワインを好きな人なら「アペラシオン」という言葉を聞いたことがあると思います。

アペラシオンとは、簡単に言うとフランスの法律に基づいた原産地の呼称のことです。

 

日本人にも高い人気があるシャンパン(シャンパーニュ)は、パリから140kmほど東に位置するアペラシオンであるシャンパーニュで生産されたスパークリングワイン(発泡性のワイン)のことで、シャンパーニュとは厳密にはお酒の名前ではなくそれが造られたアペラシオンの名称なのです。

泡の白ワインはすべてシャンパーニュ、ではなく、生産地域をはじめ、ブドウ品種、醸造法など様々な規定を満たしたもののみが、シャンパーニュというスパークリングワインの中でも最高峰の称号を名乗れるというわけです。

 

さて、フランスを代表するアペラシオンのひとつに、ローヌ地方南部に位置するシャトーヌフ・デュ・パプがあります。

ローマ教皇の新しい城」を意味するシャトー・ヌフ・デュ・パプは、もとはキリスト教カトリックの支柱であるローマ教皇クレメンス5世が開拓したブドウ畑です。

1309年から約70年もの間、ローマからアヴィニョン教皇庁を移した「アヴィニョン捕囚」。このときアヴィニョンから夏の間過ごすためにクレメンス 5 世の次の教皇であるヨハネ 22 世が建てた別荘地がローマ教皇の新しい城、つまりシャトーヌフ・デュ・パプなのです。

 

アヴィニョンにはもともとテンプル騎士団が開拓したブドウ畑がありましたが、ローマ教皇という肩書が持つブランド力は絶大で、シャトーヌフ・デュ・パプはヨーロッパにおいてはその名前を知らない人はいないほどメジャーかつ高級なワインです。

 

この「ローマ教皇のワイン」にふさわしいものを、ということでシャトーヌフ・デュ・パプの生産者組合が1937年に考案したボトルには、ローマ教皇の三重王冠の下に2本の交差するサン・ピエールの鍵があしらわれた紋章と、Châteauneuf-du Pape Contrôléという文字のレリーフが入っています。まさにローマ教皇のワインであることのプライドが感じられる、美しいデザインとなっています。

 

シャトーヌフ・デュ・パプというアペラシオンは、ボルドーブルゴーニュほど世界的には知られていないものの、700年もの昔からワインの生産がおこなわれている由緒正しい地域です。シャトーヌフ・デュ・パプを開けると、現代の日本に居ながらにして歴史あるヨーロッパの片鱗を感じることができます。