タイタンの金澤幸雄です。
4年ぶりとなる衆議院議員選挙の投開票が10月31日に行われ、翌11月1日に全議席が確定しました。
選挙前の予想では議席を大幅に減らすのではないかと思われていた、岸田文雄自民党総裁が率いる与党・自民党は、選挙前の276議席からは席数を減らしたものの、261議席を獲得し、国会の安定運営に必要な絶対安定多数を単独で確保しました。
衆議院議員選挙前の岸田政権が目指した「新しい資本主義」は、所得や資産の格差が拡大する中で分配を重視すべき、という、まるで社会主義のようだとの声も上がり、「中国と同じ経済政策をやろうというのか」との声も上がっています。
こうしたことなどから、選挙後に岸田総裁が舵取りをする経済政策には依然として大きな注目が集まっています。
新型コロナウイルス感染症対策などさまざまな争点をめぐる報道も、新聞やテレビなどで連日繰り返されていますが、やはり岸田政権が一番力を入れるべきなのは、コロナ禍などで深刻な打撃を受けた日本経済の再生に向けての戦略でしょう。
では、そもそも、政治は経済や不動産市場にどのようにして影響を与えるのでしょうか。
私たちは一般的に「政治」と「経済」は別物、として考えることが多いと思います。しかし実際は、政治と経済は切っても切り離せない関係にあり、「経済」の中にはもちろん、不動産市場も含まれ、不動産投資に大きな影響を及ぼします。
不動産を例にとると、その価格は主に金利、物価、不動産需要によってだいたいが決まります。
金利は、日本銀行が金融政策の独立性のもとに決められたもの(政策誘導目標金利)をベースとして定められていましたが、第2次安倍政権以降(2012年12月)に「三本の矢」から成る経済政策「アベノミクス」を打ち出し、そこから大きく変化しています。
その結果、日銀が通貨の信頼を守るための「銀行券ルール」(資金供給のための長期国債の残高を紙幣の発行残高以下に抑えると定めた自主ルール)などが破られるようになり、資金を大量に供給し続けています。
資金供給を増やすために、長期国債を買うだけでなくETF(上場投資信託)を通じて日本の上場企業の株式の運用や、REIT(不動産投資信託)を通じて不動産の運用も行っています。
また、全国的な人口減少問題、移民問題などの政治案件はそのまま物価や不動産需要と大きく関係しています。
政治的な判断は、不動産市場にも大きな影響を与えているのです。
金澤幸雄
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