名言のお話 -孔子
『子曰、「知之者不如好之者、好之者不如楽之者」
子曰く、「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」と。』
――孔子
タイタンの金澤幸雄です。
世界の偉人や著名人たちの名言、格言の中には、経営者の自分にとって重要な「気づき」を得られるものが多くあり、折に触れて彼らの言葉を読み返し、生きていく上でのヒントをもらっています。
今回ご紹介するのは、諸子百家(中国の春秋戦国時代に現れた、多くの思想家と学派の総称)のさきがけでありその代表者ともいえる哲学者、孔子の言葉です。
中国の代表的な思想である儒教の祖として広く知られた孔子は、真心をもって他人を思いやり、それを行動で示すという「仁」「礼」を何よりも重んじました。その教えは今もなお、世界中の人々に影響を与え続けています。
孔子は、紀元前552年に魯(現在の中国山東省)で生まれ、3歳のときに父を亡くし、17歳で母をも亡くします。孤児となってしまった孔子は勉学に励み礼学を修め、20歳を過ぎた頃に魯で委吏(貨物倉庫の出納係官)や司吏(家畜の飼育係官)などを務めます。
36歳の折、魯で内乱が勃発します。君主の昭公の亡命に従って斉に帯同し、その後帰国。そうしているうちに孔子のもとには多くの弟子たちが集まり始めます。
51歳で仕官し出世しますが、政治改革に失敗して失脚。弟子とともに諸国を巡り、常に学ぶ姿勢を持ち続けた孔子を慕う新たな弟子が続々と現れ、孔子のもとには生涯で3000人もの弟子がいたと言われています。
それほどまで多くの人の心をつかんだ孔子の教えは、2500年以上も経った現代でも十分に通用するものです。その代表とも言える「論語」は、孔子と弟子たちとの対話をまとめたものであり、時代を超えて中国のみならず世界中の多くの人の心のよりどころとなっています。
・・・前置きが長くなってしまいました。
冒頭の言葉は「(学ぶことにおいて)知識が豊富な人は、学ぶことが好きな人にはおよばない。学ぶことが好きな人でも、学ぶことを楽しんでやっている人にはかなわない」と言う意味で、略して「知・好・楽」(ち・こう・らく)と言います。
日本のことわざに「好きこそものの上手なれ」というものがあります。
自分が好きなことは時間を忘れて没頭でき、一生懸命に取り組むため、自然にうまくなっていくという意味ですね。では、「好き」と「楽しむ」とはどう違うのでしょうか。
個人的な考えですが、ある物事が好きで好きで突き詰めていくと、そこに工夫が生まれ、やり方、方法なども変化していきます。その過程における自分自身の行動こそが「楽しむ」ことではないでしょうか。
ビジネスでも同様のことが言えます。
ある仕事において、プロフェッショナルというだけの人よりも、この仕事が大好きでつねに学びの姿勢をもって対峙している、という人の方が強い。しかしさらに強いのは、すぐに行動に移してみる。トライ&エラーを繰り返す。そのプロセスを「楽しめる」人であり、そうなれば文字通り「最強」である。
私も常に「行動できる」人でありたいと思います。
金澤幸雄
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